豹変カレシのあまあまな暴走が止まりませんっ!
寝室の奥、玲の目の届かないところで、私はいそいそとドレスに着替えた。
ああ、結構ぴったり。大きめに作ったって言ってたのに。私、まさかまた太った?
この前のスイーツバイキングの後遺症かなぁ? そういえばあれから体重測ってないや……

着終わった私は恐る恐る玲の前に進み出る。

「どう? 変じゃない?」

玲は――無言。

立ち上がって、ちょっと遠くから私の全身を眺め見たあと、顎に手を添えて一言。

「モデルが服に負けているな」

すみませんねー、モデルが悪くて。玲の服に落ち度は全くありませんよ。
でも、知ってました? その酷いモデルはあなたの彼女なんですよ。

「やはりその体型でその服を着こなすのは無理だったか」

あー。ひとつ勉強になって良かったですね。私のプライドはズタボロですけどね。

「すまなかった。お前の体型に適したデザインを考え直してくる」

いや、かといって真剣に謝られちゃうと、それはそれで申し訳ないんだけど……


「ごめん、玲。でも、大丈夫。私、頑張ってMサイズに戻すから、もう少し待っててくれる?」
「は? 突然どうしたんだ?」
「だって、一応、玲の彼女だし。玲と釣り合うようになりたいし」

今回の件で反省したこと。
恰好良い玲に相応しい女性になりたい。
スイーツよりご馳走より、玲の方が大事。

美女と野獣ならともかくさ。美男と野獣なんて聞いたことないもんね。
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