もう一度だけでも逢えるなら
 猛スピードで自分の仕事を終わらせた。

 萌の仕事を手伝い、杉下さんの仕事も手伝い、若手男性社員の仕事も手伝った。

 みんないつもより頑張ってくれた。

 そのおかげで、六時前に業務が終わった。

 みんな、清々しい顔をしている。

 杉下さんは特に。



「お疲れ様です」

「どうもお疲れ様でした」

「お先に失礼します」

 部長以外、みんな定時に帰っていった。

 私は一人、オフィスに残った。



「部長、お話があります」

「なんだ」

「異動日は、いつですか?」

「なんだ、知ってたのか」

「はい」

「九月一日付けで異動だ」

「そうですか」

 部長は険しい表情で私を見ている。

 何か言いたそうな顔をしている。
< 102 / 180 >

この作品をシェア

pagetop