もう一度だけでも逢えるなら
「送別会を開こうと思っているんですが、参加していただけますか?」

 部長は大きく口を開いた。

 驚いた顔で私を見ている。

「送別会か、誰も来ないだろう」

 私も、誰も来ないと思う。今のままでは。

 それでも、部長の送別会を開く。

 費用は、私が全部出す。

「九月一日の夜でいいですか?」

「好きにすればいい」

「居酒屋でいいですか?」

「好きにすればいい」

「わかりました」

 部長は席を立ち、オフィスから出ていった。

 とても寂しそうな背中で。
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