もう一度だけでも逢えるなら
「紗優さん」
 水樹が私に気づいた。

 とても申し訳なさそうな顔をしている。

 動揺しているようには見えない。

「こんばんは」
 水樹の隣に座っている女性が、私に挨拶してきた。その声は明るく聞こえた。

 両頬が涙で濡れているけど、表情は明るい。

 どこかスッキリしたような顔をしている。

「こんばんは」
 私は笑顔で挨拶を返した。

 遠目からではわからなかったけど、水樹の隣に座っている女性は、私より遥かに可愛い。

 しかも、だいぶ若い。たぶん、二十代前半くらい。

 パッチリとした大きな瞳。二重瞼でまつ毛が長い。顔はほっそり。顎はスリム。髪はやや茶色。まるでアイドルのような顔立ち。メガネは掛けていない。

 服装は、上が黒のダウンコート。下がチェック柄のミニスカート。タイツもストッキングも履いていない。今の私と同じような服装。

 事情がわかるまでは、大人の対応を心掛ける。

 水樹は絶対に浮気なんかしない。
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