もう一度だけでも逢えるなら
「初めまして。私は、まやまみくといいます。あなたは、水樹さんのお知り合いなんですか?」
 みくさんが私に尋ねてきた。

 話し方がちょっととろい。私よりとろい。いかにも、今時の若い子といった感じ。

 お知り合いじゃなくて、私は水樹の彼女なんですよ。同棲しているんですよ。毎日ラブラブなんですよ。とは言わない。

 ヤキモチは焼かず、大人の対応を心掛ける。

「初めまして。私は、里崎紗優です」
 落ち着いて冷静に自己紹介。いつもより早口で。みくさんの質問には、まだ答えない。
 
「さゆさんですね。水樹さんは、私の命の恩人なんですよ」
 みくさんは嬉しそうな顔で言った。

 命の恩人ということは、水樹がみくさんを助けたということになる。何らかの形で。

 どんな経緯があったのかは、まだわからないけど、水樹は天使としての役目を果たしただけ。きっとそうだと思う。

 いったい何があったのか。水樹は自分が天使であることを、みくさんに話しているのか。

 別に雰囲気は悪くない。聞こうと思えば、聞くことはできる。

 けれど、水樹が私に話してくれるまで待つことにした。
< 119 / 180 >

この作品をシェア

pagetop