もう一度だけでも逢えるなら
「俺の話を聞いてくれ」
 沈黙を続けていた水樹がようやく口を開いた。

 いったい何を言おうとしているのか、表情からは読み取れない。

「俺は……俺は……実はホモなんだ。だから、女性には興味がない」
 水樹は顔を赤めながら言った。

 突然のカミングアウト。

 水樹は顔を赤らめたまま。演技とは思えないほどの表情。

 けれど、私にはわかる。

 さすが、水樹。

 でも、本当にホモだったらどうしよう。

 ちょっと心配。



「うっそー! そんなことありえなーい!」
 みくさんが驚きの声を上げた。

「ウソでしょ! ウソでしょ!」
 みくさんは明らかに動揺している。

「こんなにかっこいい人がホモだなんて……」
 みくさんの声はしぼんでいく。

「本当に、ホモなの?」
 みくさんが水樹に質問した。

「俺はホモだ! ホモだ! ホモだ! ホモだ! モーホーだ!」

 そ、そんなに何回も言わなくても……。

 そ、そんなに大声で叫ばなくても……。

 業界用語で言わなくても……。
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