もう一度だけでも逢えるなら
 悲しいランドセル。新品に近いランドセル。

 かなでちゃんのランドセルを見る度に心が痛む。

 思わず目を背けたくなってしまう。

 私が代弁するまでもなく、もっと学校に行きたかったと思う。

 クラスのみんなと一緒に授業を受けて、友達と遊ぶ。

 それ以前の問題で、もっともっと生きたかったと思う。

 かなでちゃんは今、どんな気持ちでいるのか。

 かなでちゃんのご両親は、どんな気持ちでいるのか。

 いちばん辛いのは、かなでちゃん。

 次は、かなでちゃんのご両親。

 その次が、水樹。

 そして、私。



 かなでちゃんのご両親に会いに行って、かなでちゃんが天使に生まれ変わったことを伝えたいと水樹に言った。

 それはダメだと言われた。

 天使の定め。

 一人前の天使になるための試練。

 それはわかってはいるけど、私はどうすればいいのか。

 そんなに考え過ぎるな。これまでどおり、自然体でいればいい。水樹に言われた。
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