もう一度だけでも逢えるなら
 この日の夜、いつものように、かなでちゃんに勉強を教えていた時、ものすごく嬉しいことがあった。



 かなでちゃんが、私のことを「お母さん」と呼んでくれた。

「紗優お母さん」

 なんとも嬉しい響き。

 

 そのことを、帰宅した水樹に話してみた。

 ものすごく嬉しそうにしている。

 安心した顔をしている。

 

 かなでちゃんは、水樹のことを「お父さん」と呼んだ。

「水樹お父さん、おかえりなさい」

「ただいま」

 水樹は恥ずかしがりながらも喜んでいる。

 

 かなでちゃんがアニメを見ている間に、水樹と話し合った。

 今から「かなで」と呼ぶようにする。



「かなで」
 試しに呼んでみた。

「なあに?」
 かなではすぐさま私の方に振り向いた。

「呼んでみただけよ。そのまま、アニメを見ててね」

「うん」

 かなでは敬語を使わなくなった。

 リラックスした様子で、アニメを見ている。

 もうすっかりと新しい環境に慣れた様子で。



 そろそろいい頃だな。

 明日から、天使になるための訓練を開始する。

 水樹が真剣な表情で言った。
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