もう一度だけでも逢えるなら
 水樹はひと言も言葉を発さない。無言のまま、星空を見上げている。とても穏やかな表情で。

 いっぱい話そうと思っていたのに、言葉が何も出てこない。何を話していいのかわからない。

 五百度参りの効果はあったのか。確かめるのが怖い。

 こうしている間にも、時は刻々と過ぎていく。

 なるべく笑顔でいたいけど、もう無理。

 だんだん目頭が熱くなってくる。

 もう、涙が零れる寸前。



 水樹はずっと黙ったまま。星空を見上げ続けている。表情は全く変わらない。

 私は腕時計を見てばかり。時間を気にしてばかり。星空を見上げる余裕なんてない。楽しい話なんて、とてもじゃないけどできない。
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