もう一度だけでも逢えるなら
 もう九時十一分。水樹さんは待っていてくれるだろうか。不安に思いながら、しずく第二公園の入り口へ。

 私の心配を余所に、水樹さんはベンチに座っている。いつもの服装で。

 あんな格好で暑くないのだろうか。私は今日も不思議に思う。

 しずく第二公園の時計は、九時十二分。とにかく急がねば。

「おはようございます!」
 何事もなかったかのように、笑顔で明るく元気に挨拶。

「おはようございます。雨が上がって良かったですね」
 明るい声で挨拶を返してくれた水樹さんの表情は、とても穏やか。全く怒っていない様子。
 
「それでは、原っぱに行きましょう」

 しずく第二公園から原っぱまでは、徒歩で十五分。

 慌しい朝だったため、私は早くも疲れている。それでも私は笑顔。とにかく明るく元気に振舞う。

 水樹さんは、カゴバッグもクーラーボックスも持ってくれない。まなちゃんも抱きかかえてくれない。

 必死に歩いている私を置いてけぼりにして、そそくさと歩いている。相変わらず、歩くのが速い。

 優しいのか優しくないのか、よくわからない人。
< 39 / 180 >

この作品をシェア

pagetop