冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
兵に襲われたとき、自分の命を顧みず剣を交えてくれたバスチューたちには本当に感謝している。

王太子さまは彼を切ろうとしたけれど、それも国を束ねる王太子としての威厳を保つためだったに違いないと今は理解している。

だって、そもそも人質程度にしか思われていなかった自分が隣国の兵に襲われて死んだとしても、ユノヘスとしては痛くもかゆくもなかったはずだ。


「それは当然でございます。シャルヴェさまの大切な方が傷つくようなことがあってはなりません」


バスチューは『大切な方』という言い方をしたけれど、そういうわけではないことを私が一番よく理解している。

王太子さまは、自分が統治するユノヘスで一生残るようなケガをしたことに責任を感じているだけだ。


「いえ。王太子さまは……私のことをそんなふうには……」


私がそう言うと、バスチューは首を振る。
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