冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
そう思ったものの、そんなわけがない。
彼はひとりで自室で食事をすると聞いていたからだ。


「なにをためらっておる。ほら」


すると彼は私の手をすももに誘導し持たせ、自分の口に運ばせた。

王太子さまがすももをかじった瞬間、指が彼の唇に触れてしまった私は、ハッとして慌てて手をひっこめる。


「なかなか甘いではないか。リリアーヌも食べなさい」


私は心臓がドクドクと大きく打ち始めたのを感じながら「はい」と返事をした。

けれど、王太子さまの唇に触れたことで、彼が口移しで水を飲ませてくれたことを思い出してしまい、ドギマギしてすももどころではない。


「嫌いなのか?」

「いえ、いただきます……」


王太子さまが食べかけたすももを皿に戻し、もうひとつを剥こうと手を伸ばすと「それなら食べさせてやるぞ?」と彼が自分のかじったすももを手に持ち、かじった方とは反対側を私の口の前に差し出した。
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