冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
護衛がひとりで大丈夫なんだろうかと不安にもなったけれど、この服にひとりだけの従者であれば、彼を王太子だと思う人はいないかもしれない。

でも、庶民として……なんてますますワクワクする。


「だから門を出たら『王太子さま』とは口にするな」

「それなら、どうしたら……」

「俺の名はシャルヴェだ」


そんな急に、そう呼べと言われても……。


「ですが……」


いきなりそんなにハードルの高いことを言われても……。


「できぬなら、置いていく」

「できます!」


置いていかれるのだけはイヤだ。
慌ててそう返事をすると、彼はクスッと笑った。


王太子さまは宮殿の裏から出て、ゆっくりと馬を走らせる。
それは私に街を見せてくれているかのようだった。


「うわー、あの実はなにかしら?」


木に小さな赤い実がびっしりとなっている。
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