冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
上半身は必要以上にコルセットでギュウギュウ締め付けられ、窮屈そのものだった。
どれだけ美しくても、ちっともうれしくはない。

とはいえ、王太子に気に入られなければならない。

自由奔放に生きてきた私は、これからの窮屈な生活を想像して溜め息をつきながらも、笑顔を作った。


「それでは、行ってまいります」


ユノヘスからの迎えは三人の男と立派過ぎる馬車だった。

しかし、それは王宮で暮らしたことのない私にとって“立派過ぎる”のであって、王太子の妃となる者を迎えるのにはあまりにお粗末らしく、国王の側近が「これですか?」と思わず声を上げていた。


実際、王宮の中庭に置かれている国王のための馬車は、その数倍の大きさで、きらびやかな装飾が施されている。

それと比べると、四人ほど乗ればいっぱいになり、美しく磨き上げられているとはいえ余計な装飾もされていない馬車は、王族が乗るような代物ではなかった。
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