冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「僕も妹も、畑で小麦を育ててたんだ。でも、畑まで……」

「まさか、奪われたのか?」


バスチューが口を挟むと男の子は大きくうなずいた。


「ふー」


大きな溜め息をついたのは、シャルヴェさまだった。
立ち上がった彼は、腕を組み、なにかを考えている。


「もうすぐパンが焼けるの。それを持ってくるわ」


とにかくこの子のお腹を満たしてあげたいと思った私がそう言うと、男の子は首を振る。


「僕はいらない。妹に食べせてやりたいんだ」

「大丈夫よ。たくさんあるの。お兄ちゃんがフラフラでは、妹さんも困ってしまうわ」


私は男の子の頭を何度も撫でる。


「かっこいい、お兄ちゃんね」


そう言うと、彼の目から再び涙がこぼれはじめた。

辛かっただろう。
怖かっただろう。

私がそっと抱きしめると、号泣に変わる。
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