冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
彼がそう言うと、男の子の目が輝いた。


「王太子さま、この子を助けてくださり、ありがとうございます」


彼の配慮に視界が滲んできてしまう。
温かい決裁にお礼を言うと、彼は首を振る。


「そなたの泣き顔は見たくはないぞ?」

「すみません……。うれしくて」


慌てて手で涙を拭うと、彼は男の子を抱き上げた。


「リリアーヌのように優しい大人になれ。他人のために泣ける大人に」

「王太子さま……」


まさかさんなことを言われるとは思ってもいなかったので、ますます涙があふれてきて止まらなくなる。


「リリアーヌ。盗みは厳重に処罰しなければ、国の秩序が乱れる。だから、処刑したことにして裏から逃がす。パンを用意できるか?」

「はい。すぐに」


私は涙を拭き、うなずいた。
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