冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
やっぱりすべてわかっていたんだわ……。

彼の命が失われるくらいなら、自分の命を差し出そうと思った。
でもそれは、この国にとって彼の存在がどれだけ大きいものか理解しているからだ。


「それはシャルヴェさまも同じではありませんか? 先ほど剣を置き、私を助けようとしてくださった……」


私がそう言うと、チャプンという水音が聞こえた。


「俺は民を守るためにここにいるのだ」


このとき、彼の王太子としての強い覚悟を改めて思い知った。

軍の先頭に立ち自ら切り込んでいくのも、すべてはユノヘスの民を守るため。
そのためならば自分の命など顧みない人なんだ。


「私は、サノワを守りたくて……そして、戦いのない世を作りたくてユノヘスに参りました」

「戦いのない世など無理だ」

「いえ。剣で領土を奪うのが正しいと皆が思っているのは、子供の頃からそう言い聞かせられてきたからです。思いやりを持ち、困ったときは食べ物を分け合い、助け合い……そうすることが正しいとわかっていれば、争い事はうんと減ります」
< 190 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop