冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「そうか。お前にはケガをさせてばかりで、申し訳ないことをした。サノワの王にも改めてきちんと謝罪の使者を送るつもりだ」


私は首を振った。

そんな必要はない。
たしかに傷は残ったけれど、助けてくれたのは紛れもなくシャルヴェさまだ。


「これで、お別れだ」

食事が済み立ち上がった彼は、はっきりとそう告げた。


「シャルヴェさま……」


私は、泣きそうになるのを必死にこらえた。

ここで涙を流すことを彼は望んではいない。
彼は私が元気にサノワに旅立つことを望んている。


「どうか、ご無事で」


しかし、声が震えてしまった。
彼はそれに気づいたものの、小さくうなずいただけだった。


ヤニックに付き添われて部屋に戻り、呆然とベッドに腰掛けた。


「リリアーヌさま?」

「ヤニック、少しひとりにして」

「かしこまりました」
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