冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「王太子さまの言いつけでございます。リリアーヌさまの夫となり、仕えるようにと」

「なんて……」


『言ったの?』という言葉すら出てこない。

バスチューが私の夫? 
生涯仕える?


シャルヴェさまは、もしかして足の傷のことを気にしているのかもしれない。
自身も背中の傷のことで苦しんでいる彼は、私の将来を不憫に思い、そう指示したのかも。

でも、私にとっては、身を切られるように苦しい気遣いだった。


それは――私の心が、完全にシャルヴェさまに向いているからだ。


「私は、シャルヴェさまがお兄さまを亡くされてから、兄弟のように育ちました。実兄を亡くされ落ち込んでいたシャルヴェさまのために私があてがわれたのですが、シャルヴェさまはそんなことを気にすることなく、私を大切にしてくだいました。ですからシャルヴェさまだけを信じ、ついてまいりました」
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