冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
涙がこぼれそうになるのを必死に我慢していると、バスチューが続ける。


「シャルヴェさまが命を差し出せとおっしゃるならばそうします。ですが……やはり、リリアーヌさまの夫には、どうしてもなれません」


どういうこと?

そう言ったバスチューは、私のそばまでやってきて膝をつき、顔をのぞきこむ。


「私は……そんなに困った顔をされるリリアーヌさまのそばにはいられません」


困った顔?

そんなつもりは少しもなかったものの、違うとは言えなかった。
私が結ばれたいのは、バスチューではないからだ。


「シャルヴェさまがこれほどまでに寵愛されるお方を、自分のものになど、できるはずがない」


寵愛って?

バスチューの言葉に驚き呆然と彼を見つめると、彼は優しい顔で微笑んだ。


「リリアーヌさまは、シャルヴェさまがお嫌いですか?」
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