冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
やっと手の力を緩めたバスチューは、苦しげな顔をして続ける。


「もしリリアーヌさまが切られそうになったら、シャルヴェさまはどうされると思われますか?」

「それは……」

「おそらく、ご自分の身を顧みず、リリアーヌさまを救おうとなさるでしょうね」


バスチューにそう言われて、あの男に捕まったとき、シャルヴェさまが剣を捨てたことを思い出した。


「リリアーヌさまは、その辺りの兵よりずっと身のこなしも軽やかで、私も驚きました。ですが、シャルヴェさまは我が国の大切なお人。私が命より大切に思う方。シャルヴェさまの邪魔になるのに、行かせるわけにはまいりません」


バスチューの言葉は、胸に突き刺さった。
実に的を射ていて、冷たいようで、それでいて温かい。

シャルヴェさまのことを信頼し、心から尊敬しているという人の言葉だった。


「ごめんなさい」
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