冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
シャルヴェさまは、自分よりひどいケガをしている兵より先に治療を受けたいと思うような人ではない。


「そう、ですね……」


おそらく子供の頃からの付き合いのバスチューも、彼の人柄をわかっているのだと思う。
すぐに納得してくれた。


「それでは、ここは私が。リリアーヌさまはシャルヴェさまをお願いします」

「はい」


私は薬草といくらかの食べ物を持ち、再びシャルヴェさまの部屋に向かった。


「シャルヴェさま。食べ物をお持ちしました」


私が顔を出すと、彼はベランダに出て外を眺めている。


「ありがとう。リリアーヌ、頼みがある」

「なんでしょう?」


中庭を見つめる彼のところに歩み寄ると、なにを見ていたのかに気づいてハッとした。


「先に、彼らに食事をさせたい」

「承知しました」


彼の視線の先には、戦で命を失った兵が何人も横たわっていた。
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