冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
――トントン。


「チッ」


まるで、キスを見ていたかのようなタイミングで、ドアをノックする音がして彼は顔をしかめる。
一方私は、与えられた甘い唇の余韻に浸り、呆然としていた。


これは、なに? 
すごく気持ちいい……。

水を飲まされたときとは違う。
同じようにドキドキして心臓が暴走しているけれど、胸の奥がギューッと締め付けられるように疼く。
こんな感覚、初めてだった。


「誰だ」

「バスチューです」

「入れ」


すぐにドアを開け入ってきたバスチューは、シャルヴェさまの膝の上の私を見て、「あっ」と声を上げる。

私はやっと自分の置かれている状況を思い出し、慌てて膝の上から飛び下りた。


「お邪魔して、申し訳ありません」

「そうだな。邪魔だ」

「シャルヴェさま!」
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