冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「やっぱり、気になるだろう?」


眉間にシワを寄せた彼は、私から離れようとする。


「シャルヴェ?」


彼の辛そうな顔を見てしまった私の胸は、きりきりと痛んだ。
いつもこんな悲しい想いをしてきたんだ……。


「違うんです。あの、私……」

「もうよい」

「違う!」


思わず大きな声が出た私に驚いたのか、彼は目を見開いて見つめている。


「私をバカにしないでください。私は、シャルヴェのすべてが愛おしいのです。でも……。その……私、ちょっと変になってしまって。恥ずかしい声まで上げてしまって、その……」


なんと説明したらわかってくれるの?
背中の傷は、飛びそうだった理性を取り戻すきっかけになっただけなのよ?

傷が気になったのではなく、こんなに夢中になってしまっている自分が怖いだけ……。

私が必死に言葉を探していると、彼は再び私に手を伸ばし、腕の中に閉じ込めた。
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