冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「はい。バスチューは少々出血が多かったものの、命にかかわるような状態ではないと。少し療養すればよくなるそうです」


よかった……。
コールの返事を聞いて安堵した。


「ヤニックは?」

「ヤニックさまは……わかりかねます」


一瞬、コールが目を逸らしたのが気になった。
まさか……。

王太子さまは私のことを『人質』と言った。
それならば私と共に来たヤニックもそういうことになる。


「王太子さまは、ヤニックを手をかけたりは……」

「そのようなことはなさりませんよ。ご安心ください。さぁ、こちらです」


そうは言われたものの、一抹の不安を感じながらコールに促されるまま再び長い廊下を歩き、大きな部屋に移った。


「なに、これ……」


磨きこまれたような褐色の調度品が溢れるその部屋は、真ん中に大きすぎるベッドが置かれていて、私が母と一緒に住んでいた家が丸ごと入りそうなほどの広さだった。
< 52 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop