冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「でも、このままではまたアリアナみたいな子が増えちゃう」


アリアナもまた父を戦いで亡くした孤児のひとりだった。


「でも、リリアーヌが犠牲になるなんて……」


大きな溜め息をつくアリアナに笑ってみせる。


「私、決めたの。もう誰も死んでほしくない。私が王太子さまの子を産んで、ユノヘスとサノワがひとつになれば、もう戦を仕掛けてくる国もなくなるはずよ」


今ですらユノヘス王国の力が抜きんでているため、隣国がふたつ三つ手を組んだところで太刀打ちできない。

小さいとはいえサノワとユノヘスが手を組めば、その力はさらに巨大なものとなる。
もう向かってくる国などないだろう。


「リリアーヌが、サノワを救うのね……」


アリアナは泣きながらも、私の言うことに頷いてくれた。

アリアナも無謀な話だとわかっていて、自分のように父を亡くす子が増えていくことに心を痛めていたからだ。
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