冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「こちらに。それでは失礼します」


あぁ、これは絶対に誤解されてる。
怖くて抱きしめてくれただけなのに。

戸惑う私とは対照的に、王太子さまはまったく気にする様子もなく、コールが持ってきた見事な彫刻が施されているガラスのピッチャーからグラスに水を注いだ。


「起きられるか?」


王太子さまにそう尋ねられ、体に力を入れてみたものの、鉛のように重くて起き上がることができない。

するとその様子を見ていた彼は、私の背に手を差し入れ起き上がらせようとしてくれたけれど、体が痛み、思わず彼の腕に爪を立ててしまった。


「まだ無理か。だが、飲まねば体が弱る」


顔をしかめた彼は、なぜかグラスの水を自分の口に含む。
そして、顔を近づけてきて唇を私の唇に押し付けた。
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