一輪の花を君に。
ーside美空ー
どうしてこうなったのか、私の頭は全然追いついてこない。
中森先生に、慣れるためなんだろうけど、よく私はこの人と2人きりにされる。
だけど、さっきの言葉で私の気持ちはだいぶ軽くなった。
戸惑っていた気持ちが、先生の言葉で救われた気がする。
誰も、信じないって思っていたけど、この人は私と真剣に向き合ってくれるのかな?
中途半端に、逃げ出したりしないのかな。
喘息を治すことも、腎臓を治すことも大変ってことは分かっている。
それでも、七瀬先生は10年近く諦めずに治療してくれた。
この人は、七瀬先生が信頼している人なんだよね。
「随分、身体も温まったみたいだね。」
私の腕を触り、先生は微笑んだ。
その時、先生の手の温もりに少しだけ安心することができた。
私が知りたかったのは、先生の気持ちだったのかな。
大人の男性が怖かったんじゃなくて、この人に優しくされてそれに応えてしまったら、後に自分が傷つくことが怖かったのかな。
どっちにしろ、私は単純なのかもしれない。
「美空?大丈夫か?」
「え?」
「さっきから、ぼーっとしてたから。」
「別に、何でもないです。」
「そっか。美空、ギターはいつから始めたの?少しだけ聞いたけど、凄く上手だったから。」
「3歳の時に、始めました。」
私は、昔歌手になることが夢だった。
でも、医者であるお父さんは私がそんなチャラチャラした夢を持っていることが、気に食わなかったらしい。
お父さんは、私を医者にしたくて4歳の時に、塾に入れた。
小学受験もして合格を果たしたのに、私はそれと同時に捨てられたんだっけ?
どっちにしろ、最低な人だ。
「そんなに昔からやってるんだね。相当、ギターが好きなんだ。」
「好きです。ギターを弾いている時だけは嫌なことを忘れられるんです。」
「そうか。」
私は、まだ重い身体を半分だけ起こす。
「無理するなよ?」
身体を半分だけ起こして気づいた。
また、棚の上に1輪の花が飾られていた。
「百合の花。」
私は、思わずそう言葉にしていた。
「ああ、七瀬先生が中庭の百合の花を詰んできてくれたんだ。」
「そうなんだ。」
百合の花は、私が種の時から育ててきた。
しばらく、中庭に行っていなくて咲いていることにさえ気づかなかったな。
どうしてこうなったのか、私の頭は全然追いついてこない。
中森先生に、慣れるためなんだろうけど、よく私はこの人と2人きりにされる。
だけど、さっきの言葉で私の気持ちはだいぶ軽くなった。
戸惑っていた気持ちが、先生の言葉で救われた気がする。
誰も、信じないって思っていたけど、この人は私と真剣に向き合ってくれるのかな?
中途半端に、逃げ出したりしないのかな。
喘息を治すことも、腎臓を治すことも大変ってことは分かっている。
それでも、七瀬先生は10年近く諦めずに治療してくれた。
この人は、七瀬先生が信頼している人なんだよね。
「随分、身体も温まったみたいだね。」
私の腕を触り、先生は微笑んだ。
その時、先生の手の温もりに少しだけ安心することができた。
私が知りたかったのは、先生の気持ちだったのかな。
大人の男性が怖かったんじゃなくて、この人に優しくされてそれに応えてしまったら、後に自分が傷つくことが怖かったのかな。
どっちにしろ、私は単純なのかもしれない。
「美空?大丈夫か?」
「え?」
「さっきから、ぼーっとしてたから。」
「別に、何でもないです。」
「そっか。美空、ギターはいつから始めたの?少しだけ聞いたけど、凄く上手だったから。」
「3歳の時に、始めました。」
私は、昔歌手になることが夢だった。
でも、医者であるお父さんは私がそんなチャラチャラした夢を持っていることが、気に食わなかったらしい。
お父さんは、私を医者にしたくて4歳の時に、塾に入れた。
小学受験もして合格を果たしたのに、私はそれと同時に捨てられたんだっけ?
どっちにしろ、最低な人だ。
「そんなに昔からやってるんだね。相当、ギターが好きなんだ。」
「好きです。ギターを弾いている時だけは嫌なことを忘れられるんです。」
「そうか。」
私は、まだ重い身体を半分だけ起こす。
「無理するなよ?」
身体を半分だけ起こして気づいた。
また、棚の上に1輪の花が飾られていた。
「百合の花。」
私は、思わずそう言葉にしていた。
「ああ、七瀬先生が中庭の百合の花を詰んできてくれたんだ。」
「そうなんだ。」
百合の花は、私が種の時から育ててきた。
しばらく、中庭に行っていなくて咲いていることにさえ気づかなかったな。