柏木達也の憂い

お酒が入ってほんのり赤くなった顔に、その仕草が色っぽすぎて、さっき溢れた気持ちが、そのまま出てしまった。

「美智子さん、俺ならあんなこと言わないです。俺、仕事してる美智子さんが好きです。俺じゃだめですか?」

腕を握ったまま、さっきから頭に浮かんでいた言葉を口にすると、大きく目を見開いている美智子さんが目に入った。

「美智子さん・・・」

そういってもう片方の腕も掴むと

「ちょ、ちょっと柏木くん、落ち着こうか」

人の流れに逆らって、道の端まで誘導されてしまった。

「酔ってる?そんな飲んでたっけ?」

そういって小さく笑う美智子さんからは、さっきまでの驚いた感じはなくなっていた。でも真剣に俺の気持ちを受け取ってくれる気がないんだと思うと悲しくて。それ以上に怒りもあって。


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