柏木達也の憂い
「美智子さん、落ち着いて」
そう言って向かいに座っている美智子さんの肩に手を伸ばそうとしたら、パシンとその手を払われた。
それに衝撃を受けて、払われた自分の手を見つめたまま動けなくなってしまった。すると、畳みかけるように
「ねぇ、図星すぎて何も言えない?私にかける言葉もないって感じ?」
ふっとバカにしたような笑いとともに、さらに言葉が続けられる。その言葉に、その表情に、さっきの仕草に打ちのめされていた。
「美智子さん・・・・」
立ち上がって美智子さんに近づいて、イスに座ったままの美智子さんの足元に膝まづいた。
「美智子さん、聞いて。お願いだから、聞いて欲しい」
こっちに視線を向けてくれない美智子さんの手を掴みながら懇願すると、ようやくチラっと目を向けられた。