柏木達也の憂い

「美智子さん。俺があのコンペとれたのも、こうやって一人前になれたのも、全部美智子さんのお陰なんだよ。くさりかけてた俺を引き上げてくれて、ずっと俺は美智子さんの背中を追いかけてた。
 でも、それじゃあもう嫌だったんだ。美智子さんよりデキる男になって、堂々と美智子さんと並びたいって。だから、あのコンペに出したし、独立もしようと思っている」

必死でそこまで話したところで、それまで前を向いていた美智子さんがおもむろに身体ごと俺のほうに向いた。

「独立って・・・」

今度は美智子さんが固まってしまっている。

そこで、自分が思い描いていたシチュエーションとは違うけど、伝えるなら今しかない、と思った。

「そう。今の会社では美智子さんが先輩のままだから、独立して、一人前になって、それで・・・」

「ふざけないで!!」

だけど、肝心なところを話す前に、大きな声で遮られてしまった。

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