柏木達也の憂い
「何が、背中追いかけてた、よ。
何が、デキる男になる、よ。
何が、先輩のまま、よ。
・・・ほんと、バカにしている」
うなだれるようにしている美智子さんを見て、こんなにこの人を追い込んでしまっているのは自分なんだと、今日何度目かの衝撃を受けた。
そのせいで、情けなくも首を横に振ることしかできない。
「私が、どんな思いをしてたかわかる?どんどん力をつけてく達也くんを側で見てて、最初は嬉しかったし、誇らしかった。
でも、いつのまにか私なんかよりもおっきい案件ばっかりになって、指名での仕事も入って、おまけに今回のコンペでしょ。それでも、あなたは、美智子さんはすごいって言うの。
正直、みじめだった。自分の才能のなさが日に日にはっきりしてくるようで。
私のことを否定せずに心地いい言葉をくれる、私の自尊心を満たしてくれる達也くんが好きだった。だけど、今はもう苦しいだけなの」