甘い媚薬はPoison
俺に代わって杉山が話を進める。
彼の穏やかな声を聞いて俺は少し冷静さを取り戻すと、佐藤さんに告げた。
「紹介状は書くが、すぐに荷物をまとめて出ていってくれ」
「……はい」
ハンカチで涙を拭いながら佐藤さんは小さく頷く。
「話は以上だ」
俺が冷たくそう言うと、佐藤さんは黙って席を立ち、会議室を後にする。
「杉山、社員にはこのことを伏せておいてくれ」
変に騒がれて社員の士気を下げたくはない。新しいプロジェクトだって進めているところだ。
「わかった。それにしても意外だったよ。朝比奈が紹介状書くなんて情けを佐藤さんにかけるなんて」
「全ては自分のためだ。逆恨みされてまた愛梨に危害を加えられては困るからな。早くどこかの会社に引き取ってもらった方がいいだろ」
愛梨を守るためなら、なんだってやる。
「なるほどね。そんなに愛梨ちゃん好きなら、早く結婚すればいいのに」
杉山が俺を見て、含み笑いする。
「言われなくてもそのつもりだ」
ニヤリとして肯定すれば、杉山は目を見開いて驚いた。
「うわっ。素直に認めた。恋って偉大だね」
わざとらしく感心したように呟く杉山の背中を力一杯叩いた。
「煩い、お前も早く相手見つけろよ!」

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