甘い媚薬はPoison
愛梨は苦いものが苦手だ。ビールもあまり飲めなくて、飲み会の席ではたいていウーロン茶か甘いカクテル。
あいつ……大丈夫か?
体調だって万全ではない。
適当に女子社員と会話しながら、愛梨にたまに目をやると、案の定ふたりにビールをジョッキで勧められていて……。
あれは……マズイな。
これは放ってはおけないと思って腰を上げたら、愛梨はふたりから逃れるように先に席を立ち座敷を出た。
横にいた杉山も「トイレ」と言って立ち上がる。
俺も女子社員の相手をするのに疲れ、「ちょっと会計があるから」と一言言って席を外した。
とりあえず今日の会計を済ませ、愛梨を探してトイレのある通路に向かうと、彼女の叫び声がした。
「杉山さん、ダメ~‼」
慌てて愛梨の元へ向かえば、杉山が壁ドン状態で彼女に襲いかかろうとしていて……。
「杉山、正気に戻れ!」
咄嗟に杉山の襟ぐりをつかんで愛梨から引き剥がすと、頭突きを食らわせた。
その衝撃で俺の眼鏡が床に転がる。
「いってえ~」
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