甘い媚薬はPoison
私のそんな気持ちなんて蓮くんは知らない。
大学時代に秘書検定の二級を取ったのだって、蓮くんのそばで彼を支えたかったからだ。
「歩くんの彼女がうらやましいな……あっ‼」
思っていたことがそのまま口から出てしまって慌てて口に手を当てる。
「愛梨ちゃんも頑張って。俺は愛梨ちゃんの味方だからね」
歩くんは、私が決死の覚悟でここに来たのを知っているかのように私にウィンクしてエールを送る。
「……ありがと」
媚薬で蓮くんを落とせる自信はなかったけど、笑顔を作って微笑んだ。
「鍵は玄関に置いとくから、必要があれば使って」
「うん」
私の頭をクシュッと撫でて出ていく歩くんを見送ると、もう誰もいないけど「お邪魔します」と言って中に入った。
勝手知ったる蓮くんの家。
靴を脱いでまっすぐリビングに向かうと、テーブルの上に不動産の情報紙が置いてあった。
新しいビルかマンションでも買うのかな?
デパ地下で買ったお弁当をテーブルの上に置き、雑誌を手に取って眺めるが、億単位のマンションや一戸建てが載ってて、私には一生縁のないものだと思った。
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