エリート上司の甘い誘惑
いつまでも逃げていても仕方ないので、そろそろちゃんと、考えなければいけないと思う。
東屋くんのことも、部長のことも、腕時計のことも。


東屋くんのことは、正直言って嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど好きかと聞かれると、なんだか突然すぎて感情も理解も追いついていないのが現状だ。


でも、毎日あの調子で懐かれるとどうしても、嫌いにはなれない。


ならば部長は、と考え始めると、なんというかいてもたってもいられないような、妙にそわそわしてしまう自分がいる。
あの日の部長が、なぜあんなことを言ったのか、とか、単に本当に酔っていただけなんじゃないのだろうか、とか。


選べと言った。
ではもし、部長を好きになったら彼は私を選んでくれるのだろうか、とか。


あの時生まれた選択肢は、私の中ですっかり東屋くんか部長か、という二択で示されたような気になってしまっていて。
腕時計の持ち主が、同じだったらいいなと願ってしまう。

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