エリート上司の甘い誘惑
12月に入り、いよいよ忘年会の日も迫り早く店を決めなければという頃。
あともう一軒だけ下見に行って、それで今まで下見した中のどれかに決めよう、となっていた。
この二日ほど部長が出張で、また調子に乗った園田が私の周りをうろつこうとしたが、それを上回る勢いで東屋くんがうろついていたので近寄ってくることはなかった。
……っていうか。
仕事しなさいよ!
なんで見計らったように、私が珈琲いれるタイミングで給湯室に来るのか。
と尋ねれば、私が毎日同じタイミングなので、その時間に自分も休憩入れるように調整しているだけだとか。
そのサイクルに園田も気づいているのだとしたら、今度から時間をランダムに設定しようと思う。
「お疲れ様でーす」
口々に声を掛け合い、仕事の終わった者から退社していく。
私は明日の仕事の準備などもあり少しばかりの残業をしていたら、残っていたのは高見課長だけになっていた。
「課長も残業ですか?」
「あー、うん。そんなようなもん。西原帰れそう?」
「はい、これで帰ります」
課長が残業なんて珍しいな、と思った。
PCの電源を落として荷物を纏めたら、終了だ。
お疲れ様です、と課長に声をかけようとしたら、彼も立ち上がって帰る準備をしていた。
「俺も帰るから、駅まで一緒に行くわ」
「えっ?」
なんだ。
何か、不自然だ。
愛妻家という噂に違わず、取引先などの接待で遅くなること以外は大抵、意地でも業務時間内に仕事を終わらせイソイソと帰路につくのが高見課長だ。