エリート上司の甘い誘惑
「課長……どうかしたんですか?」
「ん?」
「奥さんと喧嘩でもしました? だったら尚更早く帰った方がいいですよ?」
仲直りは早い方がいいんですからケーキでも買って、ほらほら早く。
と課長の背中を押したつもりだったのだが、課長は一瞬、意味がわからないというようにきょとんとした。
「違うんですか?」
「ちげーわ! うちはラブラブだし喧嘩はしないの! たまに怒られたりはするけど」
高見課長のとこは、どうやらかかあ天下というやつらしい。
「鬼嫁ですか」
「それも違う! うちの奥さんはすごい優しいし綺麗だし、たまに口は悪いけどそこも可愛くて」
いや、それは聞いてないけども。
惚気に発展しそうなので、少々語尾に被せるように言い返す。
「じゃあなんなんですか。なんか変ですよね?」
「え、いや、そんな、ことは」
「……気のせいなら、まあいいですけど。今日は東屋くんと忘年会の下見に行くので、待ち合わせしてるんです」
「あ、じゃあその待ち合わせまで一緒に」
「だからなんで?!」
子供じゃあるまいし!
多少暗くなったって、駅までの道なら人通りも多いし、しかも今更だ。
暗くなってから帰ることなんて、度々ある。