エリート上司の甘い誘惑
オフィスの出入り口付近で睨み合い。
えーっと、うーんと、と言葉を探す高見課長は、やがて諦めたように深いため息を吐く。
「だから俺、黙っとくとか苦手だって言ったのに。部長、無茶振りすっから」
「え、部長?」
「気にしそうだから、西原には気付かれないようにそれとなくって言われてたんだけどさ」
後頭部を掻きながら、高見課長は部長に頼まれたのだと自白した。
二日前、出張に出る前日のことらしい。
個人ロッカーにコートだけ取りに行って、高見課長と駅までの道を歩く。
その道すがら、話してくれた。
「理性と道徳をどこかに落としてきた猿がうろついてるから、社内で一人にならないように見といてやってくれって」
驚いて吹き出すところだった。
「部長、そんなこと言うんですか?!」
「あの人、たまに面白いこと言うよ。たまにだけど」