エリート上司の甘い誘惑
「たまにって」
「そう、たまに。仕事中は堅い顔してること多いけど、飲んでる時とか結構、しょうもないことで笑うし」
「あ、案外笑い上戸ですよね」
「そうそう。で、さっきみたいに毒舌入る時が面白い」
そこは、知らなかったけど。
ぜひ一度、その毒舌なセリフも部長の声で聞いてみたい。
「にしても、西原も災難だな厄介なのに目ぇつけられて」
部長の話で一頻り笑った後、課長は不意に話を戻した。
「園田ってさ、まだ新入だった頃から段々評判悪くなって……まあ、女絡みで。でも、ここ数年は大人しかったんだけどなあ」
困った奴だな、と頭を掻きながら顔を顰める。
そうか。
昔からそういうやつだったのか。
多分その数年は私と付き合ってたから表面上大人しく見えたんですよ。
と、若干遠い目で進行方向を眺める。
「なんか嫌なことでもされたか?」
「いえ、ちょっと、絡まれただけで。給湯室で。その時部長が気付いてくれたから」
ああ、だからか、と納得したように頷いた。
「部長がかなり気にかけてたから」
「そう、ですか」
私は俯いて、片手を口元に当てて隠し、下唇を噛む。
つい、緩んでしまう。
顔が熱くなってしまう。
心の奥の方から、あったかい感情が滲み出てしまう。
出張だからと、課長に頼んでおくくらい、気にかけてくれていたのだ。
もしかしたら普段から、ずっと。