エリート上司の甘い誘惑
悪い人じゃない。
優しい人だと思う。


女の子の扱いも上手そうで、何より私を「好き」だと言ってくれた。


この気持ちを受け入れればきっと、彼はその言葉通り毎日でも傍に居てくれるのだろう。
私を守ってくれるんだろう。



「さよさん」



ダメ押しのように名前を呼ばれ、とくんと胸が鳴る。


流されそうになったその瞬間だ。



『西原』



不意に思い出された声に踏みとどまった。
耳に響く涼やかな声。


額をぶつけて間近に見た、閉じられた睫毛と綺麗な目の形。


ちゃんと、選べ。
と、記憶が私を諭した。




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