エリート上司の甘い誘惑
第一声に何を言うか、迷っているうちにすぐに通話に切り替わる。
言葉が出ずにいると、名前を呼ばれた。
『西原?』
さっき、脳裏に蘇ったあの声だ。
耳に心地よく響く、部長の声って好きだ。
「はい、部長………お疲れ様です」
『ああ、お疲れ』
短い言葉のやり取りだけで、伝わる空気と感情。
かけ直して良かったのだと、ほっとする。
「あの、さっき。お電話いただいてましたよね?」
『ああ、高見から連絡があって』
「あ」
ぽん、と頭に浮かんだ言葉が、口をついて出た。
「猿は、出ませんでしたよ」
『ぶふっ』
携帯の向こうで、噴き出したような声が聞こえた。
笑ったのかと思ったけど、何か飲んでる途中だったのかもしれない。
その後ゲホゴホと咳き込んでいたから。
「だ、大丈夫ですか?」
咳はすぐに、喉を鳴らす笑い声に変わった。
『……苦しい』
「ええっ?!」
『腹いてえ……そうか、猿は大人しくしてたか』
楽しそうな声を聞いていると私もおかしくなってきて、くすくすと含み笑いが零れる。
立ち止まっていた足を、家に向かって進ませた。
「ありがとうございます」
『ん?』
「部長が、気にかけてくださってたって主任から」
『……ああ』
いや。と、口籠る。
そして、言葉が続かなくなる。
……まさか。
照れているのだろうか。
いやまさか。
そんなわけはないだろうけど、無性に携帯の向こうの部長の様子が知りたくなってしまった。
言葉が出ずにいると、名前を呼ばれた。
『西原?』
さっき、脳裏に蘇ったあの声だ。
耳に心地よく響く、部長の声って好きだ。
「はい、部長………お疲れ様です」
『ああ、お疲れ』
短い言葉のやり取りだけで、伝わる空気と感情。
かけ直して良かったのだと、ほっとする。
「あの、さっき。お電話いただいてましたよね?」
『ああ、高見から連絡があって』
「あ」
ぽん、と頭に浮かんだ言葉が、口をついて出た。
「猿は、出ませんでしたよ」
『ぶふっ』
携帯の向こうで、噴き出したような声が聞こえた。
笑ったのかと思ったけど、何か飲んでる途中だったのかもしれない。
その後ゲホゴホと咳き込んでいたから。
「だ、大丈夫ですか?」
咳はすぐに、喉を鳴らす笑い声に変わった。
『……苦しい』
「ええっ?!」
『腹いてえ……そうか、猿は大人しくしてたか』
楽しそうな声を聞いていると私もおかしくなってきて、くすくすと含み笑いが零れる。
立ち止まっていた足を、家に向かって進ませた。
「ありがとうございます」
『ん?』
「部長が、気にかけてくださってたって主任から」
『……ああ』
いや。と、口籠る。
そして、言葉が続かなくなる。
……まさか。
照れているのだろうか。
いやまさか。
そんなわけはないだろうけど、無性に携帯の向こうの部長の様子が知りたくなってしまった。