エリート上司の甘い誘惑
すぐに運転席に乗り込んだ部長に、すみませんすみませんと謝り倒しているうちに車は発進する。
「食事は?」
「あ、帰る前に軽く食べてしまって」
「そうか、俺もだ。この時期は誰も似たようなもんだな」
帰って自炊する気力も萎えるほど、この時期は忙殺される。
なので、適当な店で食べて帰るか、コンビニ弁当に頼ることが多かった。
つまり、今この場に置いて、私も部長も食事で時間をつぶそうという選択肢がないということだ。
……ど、どうしよう。
車に乗せてもらってしまったけれど、まだ家に送られるのは怖い。
じゃあ、どこに?
車内という密室で、部長といつまでも二人きり、というのもつらい。
ドキドキし過ぎて、心臓がもちそうにない。
それなのに。
「……じゃあ、うちに来るか」
キキ、と車が止まった信号待ち。
私の心臓も、止まった。