エリート上司の甘い誘惑
「え……、え?」
「すぐそこだ」
「や、でも、そんな、迷惑は」
ハンドルに両腕を預けて、私の顔を覗き込む。
部長の笑みは、夜の気配に演出されてとても、艶やか。
違う、意味深にとらえたらだめだ。
園田が居るから今日は避難するか、とそれだけの意味だ。
わかってるのに、その艶っぽい笑みがどうしても余計な想像を上乗せしてしまう。
「別に迷惑だとは思ってない」
「あ、の、」
「冗談だしな」
「あ、そう、冗談……冗談っ?!」
見ると、部長は顔を伏せてくつくつと肩を揺らし笑っている。
「からかった……」
「お前があんまり固い顔してるから、つい」
くくく、と部長の目尻に涙が浮かぶ。
私の方こそ泣きそうです。
心臓が止まったり走り出したり、健康被害が出そうです。
私が不整脈になったら絶対それは部長のせいだ。