エリート上司の甘い誘惑
「冗談はさておき」
どうやら本当に揶揄われていたらしい。
信号が青に変わって、車を発進させながら部長の手がくるくるとハンドルを切る。
「とりあえず、西原の家に行こう」
「え? でも、まだ居たら」
「居れば好都合だろう。俺が話をする」
部長の提案に、驚いて目を見開いた。
「えっ、そんな! 部長にそんなことさせられません!」
「だがこのままなら、これからも同じことが続くかもしれないだろう」
「それは……」
確かに、その通りだけれど。
引っ越そうか、という選択肢もここまできたら頭をちらつく。
だけどそれにしたって、明日急に引越しできるわけではないのだ。
「大したことじゃない。とにかく一度、行ってみるぞ」
本当に?
部長にそんなこと、頼んでしまっていいのだろうか。
悩む間にもすぐに、車は私のマンションの前に着いてしまったのである。