エリート上司の甘い誘惑

「ひでぇ。聞かないって言ったのに」
「え?」
「絶対、終わらせるような言葉は聞いてやらないって思ってたのに。そんな過去形で言われたら、もう諦めるしかないじゃないですか」
「……ご、ごめん」
「謝らないでくださいよ」


腰に手を当て、強気にふんぞり返って笑う。
その様子に、少しほっとする。


もしかしたらそれすらも、彼の気遣いなのかもしれないけれど。


「もういいですから。早く行かないと、部長が待ってますよ。ほんとに送りましょうか?」

「いや、それはほんとに大丈夫。待ち合わせすぐそこだし」


その場から彼はまだ離れないのか、彼は私に向かって小さく手を上げた。
私も、「じゃあ」と言って、手を上げ返してオフィスを出る。


出入り口付近で一度振り返ったけれど、東屋くんはまだ微笑んで見送ってくれていた。

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