エリート上司の甘い誘惑
「すみません見ました、二人で寄り添って歩いてるとこ見ちゃったんで!」



ようやく素直に吐いた東屋くんの耳を解放する。
彼は、痛そうに涙目になりながら両耳を擦って、それからまたちょっと目を逸らした。



「すっげ、さよさんが嬉しそうな顔だったんで。……その、場所も場所だったし」

「…………どこ」

「………ホテルの前。しかもちょうど出て来たとこ」



なんちゅーか、もう。


両手で顔を覆って隠し、俯いた。


自分で聞きだしておきながらなんだけど。
穴があったら入りたい。


でれっでれした顔して並んでたんだろうか。
自覚あるわー……恥ずかしい。


だってあの頃は幸せだったんだもの。
その絶頂から突き落とされた女、そういう目で東屋くんに見られていたのか。
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