イケメン御曹司のとろける愛情
 円崎さんが甘えるように翔吾さんを見上げながら、彼のスーツの腕を掴むのが見え、私は胸が痛くなって視線を足元に落とした。

 実物の円崎さんは“美人すぎる”と記事に書かれていたのが本当に納得できるくらい、すごく美人だ。目も大きくて、私みたいにアイシャドウで小細工したり、つけまつげで盛ったりしなくても、ぱっちりしている。唇だってぽってりしていて女性らしい。オーバーリップ気味に口紅を塗った私とは違う……。

 翔吾さんはどうして私なんかに声をかけたの?

 やっぱり真緒ちゃんたちが言うように、一途すぎて騙されやすそうだと思ったから?

 トボトボと歩いているうちにB.C. square TOKYOが近づいてきた。少し先を歩く翔吾さんと円崎さんが入り口の自動ドアから入っていく。

 私はエントランスの前で足を止めて二人の後ろ姿を目で追った。二人はアッパーフロア専用エレベーターに向かっている。あのエレベーターに乗って私が行けるのは、アッパーフロア専用の受付がある二十七階まで。それより上の階には、アッパーフロアに入る企業の社員証がなければ行けないのだ。私が持っているコンビニの社員証では通してもらえない。アッパーフロアは私には近づけない場所。

 ねえ、翔吾さん。私とのディナーの前に、どうして円崎さんと会うの?
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