クールな次期社長の甘い密約
えっ? そうなの?
「木村に関しては、仕事が出来るからある程度の事は目を瞑ってきたが、甘い顔ばかりはしていられない。アイツは調子に乗り過ぎたんだよ。
少しお仕置きが必要だと思っていたら倉田が察してくれた様だ。俺が何も言わなくても倉田には俺の考えがちゃんと分かっている。さすがだな」
専務が絶賛しているのに、倉田さんは特に喜ぶワケでもなく「いえ、なんとなくそう感じただけです」なんてサラッと謙遜してる。
でも驚いた。倉田さんって専務の顔を見なくても何を考えているか分かるんだ。隣に居た私は全然分からなかったのに。これって、専務を想う愛の力なのかな?
しかし倉田さんには悪いが、彼の恋心より気になっていた事があった。
「あの、専務、一つだけ聞いていいですか? 木村さんとホテルで同じ部屋に泊まったって話しは……創作? それとも事実? どっちなのですか?」
自分でも驚くほどムキになって聞いていた。専務はそんな私の頬を両手で包み「どっちかな?」って茶化すとニッコリ笑う。
そして、フワリと柔らかい唇が触れた。
――不意打ちのキス。大好きな専務の香りに包まれていく。
倉田さんがすぐそこに居るのにこんな事……今までの私だったら恥ずかしくてパニックになっていたはず。でも、なぜだろう。専務のキスを拒む事が出来ない。それどころか、もっとキスして欲しいと思ってしまう。
あぁ、専務が好き……大好き……
会えなかった寂しさを埋める様に何度も唇を重ねる。専務との甘いキスに酔いしれ、車が走り出した事さえ気付かなかった。