クールな次期社長の甘い密約

へっ? ご褒美?


私を抱く専務の腕に力が入り「俺が欲しいモノ、分かるだろ?」なんて言うから答えに困ってしまった。何も言えずモジモジしていると痺れを切らした専務が返事の催促をしてくる。


「あの……すみません。今は……無理です」

「はぁ? ダメなのか?」


素っ頓狂な声を上げ驚いている専務の姿を目の当たりにして、そんなにご褒美が欲しかったのかと申し訳ない気持ちになった。でも……


「あぁ……本当に、すみません。給料日まで待って頂けないでしょうか?」

「き、給料日?」

「今はまだ生活がギリギリで……お給料が出た後でしたら、何かその……専務が喜ぶ様なモノをプレゼント出来るんじゃないかと……」


言葉もなく私を見つめる専務。失礼な事を言ってるって事は分かっていた。けれど、専務が欲しがるモノだもの。きっと高額な品物だろうし、今そんな散財したら生きていけない。


金欠状態で余裕がないのはまぎれもない事実「すみません」と何度も頭を下げる。


そんな私をポカンと眺めていた専務が突然笑い出し、その笑いはなかなか止まらない。遂にはお腹を抱えてしゃがみ込んでしまった。


「ひぃ~笑い過ぎて腹が痛い。こんなに笑ったのは久しぶりだ。茉耶ちん、君は本当に最高だよ」

「はぁ……」


褒められているみたいだけど、何が最高なのかサッパリ分からない。


「まさかこの流れで、そんな答えが返ってくるとは思わなかったよ」


専務は私を見上げ、涙を拭きながらまだ笑っている。

< 105 / 366 >

この作品をシェア

pagetop